横沢史穂のブログ

祖父が、ラバウルで負傷した陸軍の傷痍軍人でした。左右のイデオロギーに関係なく、戦争経験者の話を中心に編集したいと思っています。

海軍上層部の大罪 25

サイパン島の要塞化を一切しなかった大罪

サイパン島は海軍の担当地域。
海軍上層部は、このサイパン島を要塞化するという国家の方針に背いて前方進行作戦を推進し、赤道を超え日付変更線を越え、戦線をメチャクチャに拡大した上にそれらの地域に100万人以上の陸軍将兵を送り込み、武器弾薬や食料をほとんど送らずに100万人の陸軍将兵を餓死、戦病死させました。
 
敵に殺されたなら仕方ない
しかし、味方の不作為や裏切りによって殺されたなら、その恨みは万年先まで消えない
これを書いていても、私は血が吹き出る様な無念を感じます。
ロシア(ソ連)だって、ナポレオンやヒトラーを内陸部に引き入れて勝利しました。
相手が強大なら、これは常道。
硫黄島の戦いでも、敵を内陸部に引き摺り込んで味方以上の損害を与えました。
 
キスカ島、アッツ島に、ニューギニアガダルカナル、クエゼリン環礁、ブラウン環礁…。
挙げればきりがないですが一例として、海軍が艦隊用の泊地として手を伸ばしたかったこのブラウン環礁。
 
政府が定めた絶対国防圏を越えている、即ち輸送の限界である攻勢週末点を越えているこの環礁に、海軍は陸軍に要請して4000人を派遣させて、しかし自分が頼んでおいて一隻の軍艦も一機の飛行機も寄越さなかった。 
 
しかも海軍トップの永野修身は、戦線を縮小した絶対国防圏を政府が定めた後も、その国防圏を遥かに越える更に遠方のマーシャル・ギルバートでの決戦を夢想していた。
 
度し難い無知無定見であり、国家反逆罪。
或いは未必の故意による自国兵大量殺戮です。