横沢史穂のブログ

祖父が、ラバウルで負傷した陸軍の傷痍軍人でした。左右のイデオロギーに関係なく、戦争経験者の話を中心に編集したいと思っています。

山本五十六が あそこまで祖国や日本陸軍を憎悪して復讐した理由 ②

明治政府や日本陸軍を作ったのは長州藩
だから五十六は、日本国家や日本陸軍を見ると
「父と祖父を殺した長州藩への恨み」が…
 
まず、五十六の潜在意識下では、薩長主導の「大日本帝国」は敵国でこそあれ、心からなる「我が祖国」では無かったのでは。
と言う事が、想像できます。
 
オーストリア出身のヒトラーが、真の意味で「ドイツ人」でなかった様に。
 
実は「自国の破滅をもたらした」という点で、
精神分析学的にはヒトラーと五十六は 
同類に分類される…
 
更に日本陸軍はその設立以来、山縣有朋を始めとして一貫して長州閥で占められていました。
ですので、長州閥以外はトップに立てないのが、明治時代の日本陸軍だったのです。
米国内のWASPに近いものですね。
 
明治時代までは「日本陸軍長州藩
 
まず、明治時代は政府の要職のかなりを長州藩出身者が占めており、更に山縣有朋児玉源太郎乃木希典桂太郎といった日本陸軍の将星もみな、長州藩もしくはその支藩の出身。
 
つまり山本五十六から見た日本陸軍とは
あの憎き長州藩そのもの
 
そして山本五十六から見た大日本帝国とは
あの憎き長州藩が中心となって作ったもの 
 
新潟の長岡藩士の末裔たる五十六が「大日本帝国という国家そのもの」や「長州藩の末裔たる日本陸軍」を憎悪する理由が、これでご理解いただけると思います。
二人の父親の仇なのですから。
 
五十六は、陸軍を見る度にその潜在意識から浮かび上がって来るわけです。
賊軍として苦しめられた東北諸藩の恨みが。
差別されたトラウマが。
 
後年、五十六は、ガダルカナルで苦しんで死んでいく陸軍将兵に、憎き長州藩の残像を思い浮かべていたのでは、と私は思っています。
 
※開戦直前における山本五十六の、近衛首相との対談の際の「(日米が戦ったら)東京が火の海になる」という有名な発言がありますが…。 
そうなる事への期待が、ない交ぜの予想と言ったら、言い過ぎでしょうか。