横沢史穂のブログ

祖父が、ラバウルで負傷した陸軍の傷痍軍人でした。左右のイデオロギーに関係なく、戦争経験者の話を中心に編集したいと思っています。

明菜は桜

ゴージャスに振る舞いながらも、ギリギリの所で「日本らしさ」を漂わせ、「日本女性的な一途さ」を根底に残していた明菜こそ、日本文化防衛の最後の旗手。

明菜さんは、人情がまだ辛うじて生きていた昭和の象徴。

その時代が終わって人情よりマネーが幅を利かす時代になり、明菜さんの居場所がなくなった。
としか言い様がない。

あれほど時代の中心にいた戦後最大級のスターが、あれほど短期間でセンターから去った人もいないと思います。

もしかしたら明菜さんは、昭和から平成に移るあの時代だからこそ大ブレイク出来た、あだ花的なアイドルだったという事でしょうか。  
明菜さんは、まさに桜。
 
確かに明菜さんは、そういった期間限定のあだ花的な「はかなさ」や「もろさ」と表裏一体だった。
 
その「はかなさ」や「もろさ」が彼女の最大の魅力だったわけですが、やはり、泥にまみれても生き延びてスキャンダルすら肥やしにする松田聖子みたいなしたたかさがなかったのだと思います。  
 
明菜ビブラートは今も健在なのでしょうが、歌唱力だけでは今の歌謡界で生き残れないのかも知れません。
 
「時代」がその人に活躍の場を用意して、役割が終わったら、その人に時代の表舞台からの退場を命じる…。
だとしたら、余りにもはかな過ぎる。
 
しかしそれがまた魅力であるというのが、明菜さんの逆説的な所だと思います。

大和撫子マインド ⭐️ 中森明菜と山口百恵

私がなぜ、明菜さんに大和撫子のマインドを感じるか? 

それはやはり明菜さんが、実父が家にいなくて家庭愛の寂しさの中で育った山口百恵さんに、自身を重ねて憧れていたからだと思います。
 
山口百恵さんは、横須賀の出身です。
彼女からは、港から吹き抜けてくる横須賀の海風の香りが漂っている気がいる。
 
横須賀と言えば帝国海軍の拠点(横須賀鎮守府)。
和洋折衷の山口百恵さんの根底に流れる大和撫子マインドは、帝国海軍の名残がある横須賀から継承されたものだと思います。 
そして明菜さんは、その山口百恵さんの遺伝子を継承している。
 
アイドルへの登竜門『スター誕生!』で、百恵さんの『夢先案内人』を歌って合格した明菜さんは、間違いなく山口百恵さんを意識してます。
 
そして、ここから先は私の推測です。
だから間違えているかも知れません。  
そう思って読んで下さい。  
 
明菜さんが昭和の時代に『ザ・ベストテン』に出て、歌が始まる直前のイントロで構えて準備している動画を見て、私はピンと来た事があるんです。 
 
歌いながら明菜さんのインナーチャイルドは、心の中で、こうつぶやいていたのではないだろうか。  
「百恵さん。見ていて下さい。
少女時代にあなたに憧れていた人間が、あなたに続いて今ステージに立っています」
 
ザ・ベストテン』の画面から、明菜さんのそんな心の声が聞こえた気がしました。

祖国アメリカへの忠誠 ⭐️ 史上最強の米軍特攻隊 ②

※①の続き

 

Go for broke!

 

この442連隊の合言葉「Go for broke」は「一か八か」「当たって砕けろ」と訳されますが、「その一発に全てを賭ける。負けたら死」という意味もあるそうです。

 

例に出すのもおこがましいですが、私も仕事で苦しい時、キツイ時、このGo for brokeという言葉を思い出し、気持ちを奮い立たせる事があります。

もちろん、この方達の苦労の足元にも及びませんが、それでも自分に言い聞かせます。

 

敵の陣地に向かって「バンザイ!」を叫びながら、波の様に押し寄せるサムライ部隊

 

「収容所にいる弟や妹達が、アメリカ人として生きていける様に」

「ここで戦功を立てないと、収容所の家族達が差別から抜けられない」

 

後に残った日系人達の礎となる為に、欧州戦線にてアメリカ史に残る鬼気迫る勇戦をした442連隊…。

 

確かに、442連隊が奮戦すれば枢軸側が不利になるわけだから、同盟国ドイツに対して戦果を上げた事は、日本人としては複雑な気もしますが、それはそれで…。

敵味方を越えて、立派だと思います。

 

生まれた時から日系人として差別されて、パールハーバー以降は徹底的に憎悪の対象となりながらも、「星条旗の為なら死んでもいい」「祖国である合衆国の為に犠牲になりたい」というその心意気に、胸を打たれます。

 

当時の日系二世達は、(私を含めた)今の日本人よりも、大和魂があったと私は思います。

 

「我々は親から日本人としての精神を徹底的に叩き込まれ、日本語こそ話せなくても、大和魂・サムライの死生観は持っていた。

これは他の米軍部隊では考えられないものである。

そして何より我々には、アメリカ人としての証を立て、自国での偏見を打ち破る使命があった。

この戦いには、どうしても負けるわけにはいかなかった」

第442連隊 日系二世の生存兵 ローソン・サカイ

上 ジョー・M・ニシモト上等兵

下 ダニエル・イノウエ中尉

 

祖国アメリカへの忠誠 ⭐️ 史上最強の米軍特攻隊 ①

栄光の日系442

 

戦前•戦中のアメリカにおける日系人達の歩みを描いた山崎豊子 著『二つの祖国』を読みました。全4巻、重厚な小説でした。

 

「並外れて優秀」

マーシャル参謀総長アメリカ陸軍のトップ)談

 

第二次世界大戦中、日系二世達で構成され(指揮官クラスのみ、ほとんど白人)、最大の損害を出しながらも、アメリカ史上最も勲章を授与された442連隊。

 

「俺達はアメリカ人だ。祖国はアメリカのみ」

と言って軍隊に志願した日系二世達は、

 

日系人への差別を無くす為に、

自らがアメリカ人である事を証明する為に、

祖国アメリカへの忠誠を示す為に、

 

アメリカ陸軍史上最高の活躍をしました。

 

祖国アメリカへの忠誠を示すチャンス

生みの親より 育ての親

 

開戦時、特に可哀想だったのは日系一世達です。

一世達はアメリカ本土の収容所でも日本と天皇への忠誠を示し、アメリカへの忠誠を拒否しました。

 

しかし息子達つまり多くの二世達は、祖国アメリカへの忠誠を示しました。

 

つまりアメリカ本土の日系人収容所では、一世と二世で完全に意見が分かれたのです。

 

二世達は、日本への思い入れが極めて薄い。

 

日系二世がまさにそうですが、「外様」的な差別を受けていたマイナリティ達というのは、

「白人のアメリカ人以上にアメリカ人になろう」

という気持ちになるのだと思います。

 

大日本帝国下の台湾人がそうでしたし、元々は琉球王国だった沖縄もそうでした。

大東亜戦争時に、沖縄戦を指揮した牛島満 中将も、「沖縄県民よりも国家に尽くす県民は他にいない」と称賛しています。

 

※②に続く

男女の「愛の究極」とは、「一緒に死ぬ事」でしかない

私の友人が言ってました。
 
「最期は主人と一緒に安楽死のボタンを押せたら幸せです」
 
私は深く感動しました。
繰り返しになりますが、三島由紀夫 先生が『憂国』で述べている通り…。
 
「男女の愛の究極」とは「一緒に死ぬ事」でしかないんです。
ロミオとジュリエット』も『失楽園』もそうです。
最幸ですよ。私も絶対やりたい。

 

中森明菜さんの壮大な世界観

他に1つ、明菜さんの魅力的な点があるんです。

 

彼女は昭和の時代に、『SAND BEIGE -砂漠へ-』『AL-MAUJ(アルマージ)というヒット作を出しました。

共に中近東が舞台です。  

 

更に、シルクロードをテーマにした『異邦人』という曲も、映像付きでカバーで出しています。 

 

彼女は、中近東やシルクロードに親しみを感じているのかな、と思いました。  

 

…実は私も中近東やシルクロードに人類の悠久の歴史を感じて、昔から凄く興味があるんです。 

  

次世代の人類の文明を紐解くカギが、シルクロードにある様な気がする。  

 

シルクロードギリシャから始まって、奈良ではなく沖縄が最終地点となります。  

ギリシャは、日本神道的なギリシャ神話の国。  沖縄は、古代琉球神道(縄文神道)が、そのまま残っている地域。 

このあたりに、2千年続いた西洋キリスト文明を越える、次世代の人類の文明の兆しを感じるのです。

 

明菜さんの天才的な直感が、シルクロードに何を感じたのでしょうか。

不世出の天才・中森明菜 ④ AKINA forever...

天才、それは…

何かが一方に片寄って、しかもそれが突出している人

 

「その一線を越えると全てが崩壊してしまう」という危険な一線があるとして、普通の人はどんなにギリギリまで行ってもその一線は絶対に越えないで帰って来るんだけど、たまに本当に越える人がいる。
 
狂気性を帯びた天才肌の芸術家や学者に多いと思う。ある種の自己破滅型の天才。 
マリリン•モンローとかココ•シャネルとかサルバドール•ダリとか、三島由紀夫とか尾崎豊とかアントニオ猪木とか。
破壊者にも救世主にもなる人。
 
天才的な芸術家は、みな狂っている。
しかし狂っているものは人をうならせて、人を惹き付ける。
普通の日常からは、優れた作品が生まれない。 
 
明菜さんも、そのタイプだと私は思う。
 
不幸の生い立ちを、創作のエネルギーに 
 
ちなみに、明菜さん。 
神と交信して一心不乱に祈りを捧げる古代のシャーマンの様な彼女の鬼気迫るパフォーマンスは、正気のそれではない。    
私は彼女の映像を見ていて、「この人は普通の人じゃない。天才か狂気か、どっちかだ」と確信した。
完全に「あっちの世界」に行っちゃってます。
 
ノリに乗っている極盛期の明菜さんは、まだ20歳かそこらで「誰にも負けないわよ」というオーラが出まくっている。
 
明菜の前に明菜なく、明菜の後に明菜なし
AKINA forever...
 
明菜さんのかつての映像を見ていて、「戦後最大の天才だ!」と私は思った。
あの、怨念に満ちた夜叉の様な鬼気迫る表現力は、明菜様以外絶対再現不可。 
 
彼女の重厚な人生経験が全部、ステージに表れていた。 
地の底から這い上がってくるような、うめくような情念は、本当に凄い…。
あの狂気的な天才性は、いくら称賛しても称賛し足りない。
若い頃と比べて全く遜色ない。
むしろ、より「味」が出ている。
残念ながら明菜さんは、今のところ薄幸なんだけど、この人の場合、その重厚な人生経験が全て歌に出ている。 
凄過ぎます。
 
私は明菜さんの事を、以下のように謂いました。
 
…幼児期に父親の愛が欲しかったけど得られなくて、信じていたのに裏切られて、その悲しみを今日までずっと抱えていて、だから彼女の心はガラスのようにモロく、ツッパってる姿は、実は弱さの裏返しであって…。 
 
しかし明菜さんは、その悲しき幼児期ゆえに自己破滅的な狂気性を帯びた天才性を有して…。 
だからこそ彼女は、100か0かの人間。 
 
明菜さんは、その根底に日本らしさを持っていて、そのマインドの根底はあくまでも昭和テイスト。
 
昭和的な情念こそ明菜さんの真骨頂。 
明菜さんは根っから「昭和の歌謡界」の人。 
だから機械音が主流になる90年代以降は、生きづらかったハズ。