横沢史穂のブログ

祖父が、ラバウルで負傷した陸軍の傷痍軍人でした。左右のイデオロギーに関係なく、戦争経験者の話を中心に編集したいと思っています。

「理論」よりも「伝統」を重んじるのが保守

人間が理屈で考えた理論で世の中を作り上げようというのがルソーの価値観であり、100万人をギロチンで殺したフランス革命の思想です。
これは1917年のロシア共産革命につながりますが、人間の頭や理論で全てがわかるという理性崇拝の思想は、19世紀末の欧米で既に疑問が持たれました。
 
欧米の保守派の意見は、
「人間存在は大きい。しかし人間の理論や理性如きで覆える範囲は小さい」
という事です。
 
共産主義みたいに、人間社会を理論で人工的に設計する事は、現実には出来ない。だから理論よりも、非理論の伝統を重んじるべき。
 
物事の判断する際に、
 
伝統に重きを置くのが保守。
理論に重きを置くのが左翼。
 
と、分類出来ると思います。
 
国家というのは、百年前つまり曾祖父母に思いを馳せて、百年先つまり孫・曾孫の幸せを考えて今、手を打つべき。
種の中に、将来の花も実も含まれてるのです。
 
先祖を敬い子孫に幸せを残すのは、今の世代の義務です。
「今」の中に未来の子孫の幸せ(花・実)が含まれている。伝統には、そういった知恵が凝縮している。
そして未来の子孫達もまた、後世に同じ様に伝えて命を紡いでいけばいい。
 
これが、理性崇拝とは真逆の、伝統に重きを置く保守思想です。
 
しかし残念なのは、西洋で理論・理性崇拝に疑問が持たれ始めた時に、明治の日本で西洋の理性崇拝が始まった事です。
 
ですから、よく自称・保守の人で「日本を変える」とか言う人いますが、あれは違うと思います。
保守は伝統を「維持」して守る事であり、「変革」とか「改革」とか「変える」というのは、革新系の発想です。