2020年5月に、近衛文麿 首相の孫にあたる東隆明さんとご縁をいただきました。
ご本人のお許しをいただいたので、掲載いたします。
東さんは、私が非常に尊敬する陸軍軍人 近衛文隆氏のご長男にあたります。
東さんからお聞きした近衛文隆氏の実像は、私がイメージしていた姿とは、全く違っていました。
やはり物事は、先入観で判断してはダメ。直接当事者に聞かないと実態はわからない、と気付かされました。
シベリアに10年抑留されながらも、最後まで陸軍軍人の矜持を貫いてソ連への迎合を拒否して、ソ連軍に「殺された」文隆氏…。
さぞや益荒男であったのだろうと、長い間、想像していたのですが、実際は全く違う人物でした。
益荒男ではなく「雅(みやび)」な男。
アメリカ留学中は高級外車を乗り回し、とにかく女性にモテたらしい。
シベリア抑留中もそれは変わらず、地獄の投獄どころか、ソ連側もプリンス近衛だけは別格扱い。
一目も二目も置き、抑留中も破格の待遇。女性も向こうから寄って来るらしく、何と女刑務官とも…。
また、東さんご自身は、細かい所に目が行き届く気配りの名人で、女性がつくお店で飲んだのですが、私は、こう言われました。
…横ちゃんね、いまケンゴに「ケンゴさん、女好きだね」と言ったけど、あれダメよ。
俺達は店員さんより「立場が上」ではないんだよ。俺達は「楽しませてもらっている」んだよ。店と客は立場は五分。
でも横ちゃんは無意識に「客の自分は偉い」と思っているんだよ。上から目線なんだよ。
傲慢は劣等感の裏返しだよ。さっきみたいな時は 「ケンゴさんは女性が好きですね」と言わなきゃダメ。「女好き」ではなく「女性が好き」と言わないと。そうしたら、横ちゃんはもっと良くなるから。
…との事でした。
私は即座に猛省しました。
普段は仕事で上司にペコペコしているクセに、その反動で、ああいう店では店員さんに偉そうにしてしまう自分…。傲慢は劣等感の裏返し…。
しかも東さん。
私の自尊心を傷つけないように、最後まで穏やかな話し方、かつ最後のフォローの一言を忘れない所が、気配りの名人。
「気配りは細かい所にこそ。動脈や静脈ではなく毛細血管の様な所に」を地でいく方でした。