「日本海軍は、手順通りに攻めて来る時は素晴らしい。正確で勇敢である。しかし、いったん手順が狂うと、信じられないほど無能だ」
アメリカ海軍 作戦部長 キング提督 談
敵にこの様に言われるのは、現場で戦っている部下将兵の責任ではなく、トップの責任です。
要するに理系の受験エリート官僚である海軍上層部は、マニュアル通りにしか部下を動かせないのです。
今までのブログで説明した通り、そのほんの一部の愚かな海軍上層部に、日本全部が振り回されて自滅したのです。
エリートがまじめに頑張って国民を地獄に引きづり込んでいく、という構図です。
本当に、何ともやり切れない話です。
また「日本はアメリカに物量の差で負けた」というのも海軍上層部の生き残り達が戦後に責任逃れでデッチ上げたウソです。
いやしくも軍人たる者の言うべき言葉ではありません。
ミッドウェーでもソロモンでも、日本海軍の物量はアメリカ海軍を圧倒していました。
1942年6月のミッドウェー海戦は、総兵力10倍の大軍で出て行って、逆に10倍の死者が出ました。
しかしその大敗北がありながらも、1942年10月の南太平洋海戦以降、8カ月間。
太平洋方面では、稼働空母は日本側8隻にアメリカ側0隻であり、戦艦も日本はアメリカの2倍くらい所有していたのです。
ですから、大東亜戦争は、
「アメリカに物理の差で負けた」
のではなく、
「日本海軍上層部の硬直した官僚制に起因する、自殺点の連打で負けた」
のです。
アメリカ海軍の物量が日本海軍を圧倒し出したのは、1943年半ばに、新しく編成された無敵の第五艦隊が太平洋方面に進出してからです。
知将スプルーアンス大将麾下のこの第五艦隊は、直属の海兵隊を含む陸海空三者一体の強襲上陸部隊です。
この第五艦隊が出て来るまでは、日本海軍の物量はアメリカ海軍を圧倒していたのです。
要は…。
例えば、かつてのバブル経済を破壊したのは当時の大蔵官僚です。
経済のプロであるハズの大蔵官僚が、経済の事を何もわかっていなかったのです。
旧海軍も同じ事。
海軍大学校で学んだ戦争のプロであるハズの上層部が、戦争の事を何もわかっていなかったのです。