横沢史穂のブログ

祖父が、ラバウルで負傷した陸軍の傷痍軍人でした。左右のイデオロギーに関係なく、戦争経験者の話を中心に編集したいと思っています。

三島由紀夫文学を訪ねて ① 『春の雪』

三島由紀夫 先生は日本最高の文学者

私は十代の頃に三島由紀夫 先生に傾倒し『三島由紀夫 研究会』に所属していました。

新潮文庫から出ている三島由紀夫 先生の小説は、8割方読破しました。

見出しのタイトルは、猪瀬直樹 先生の言葉ですが、私もそう思います。

その三島由紀夫 先生の遺作となる長編小説が『豊饒の海』四部作であり、その第一巻が『春の雪』。

貴族の世界を舞台にした悲恋の物語です。

綾倉聡子は、勅許まで降りて皇族の許嫁となった事で、主人公 松枝清顕にとっては「絶対に手を出せない存在」になります。

手を出す事は、神天皇の権威に逆らう事になる、絶対のタブー。絶対の不可。

しかしそうなった瞬間、逆に松枝の恋心は燃え上がる。

「他人の奥さん」「他人の許嫁」の、何と魅力的な事…。

男ならわかると思います。

その綾倉聡子が出家したお寺が月修寺。

実際にある奈良の圓照寺が、そのモデルです。

私は2020年に、初めて圓照寺に行きました(ブログでの紹介の許可は、お寺からいただきました)。

55年前、この場所で、この道で、三島由紀夫 先生が小説の案を練り、思索を巡らせたのだ。

その同じ道を、私はいま、歩んでいる。

ついにこの場所に来てしまった。

…私は感慨無量でした。

「月修寺」のモデルとされる「圓照寺」