狂気によって飛翔する。正しい狂気。
狂気が精錬されて、狂気の宝石にまで結晶して、正気の人達の知らぬ人間存在の核心に腰を据えてしまう。
世界中の学問が凝縮したかのように、あらゆるテーマが仕掛けられてる三島由紀夫小説。
文学というより、百科事典です。
三島由紀夫先生は、人間存在は理性や理論だけでは汲み取れず、内在する狂気性を正しい方向に活かす事によって更なる昇華を遂げる。という事を主張しています。
「狂気性の正しい活かし方」というのは、主にミュージシャンや俳優や作家といった優れたパフォーマー、表現者に見られます。
彼らは幼少期に愛情面で傷を負い、しかしそれにより感性が極度に敏感になり、感受性が磨かれる。
その源泉は、傷つきから来る狂気性です。
彼らが幼児期に触れた悲しみ、寂しさ、そしてそこから来る狂気性は錬磨され、人の心を打つ。
逆に言うと、狂気性が無ければ人の心を打つ優れたパフォーマンスとはなり得ないのかも知れません。