昭和20年の5月から発信されたザカライアス放送という、何と勝っているアメリカ側からの和平のシグナルを、鈴木貫太郎 総理以下の無能な指導者達は黙殺しました。
時期的に見て、栗林忠道 閣下が硫黄島で海兵隊に大出血させて、沖縄でも海兵隊と米陸軍に死体の山を築かせたからこそ出て来た、つまり日本陸軍が指揮した両島での死に物狂いの奮闘を背景にしてこその、アメリカ側からの停戦オファーである事は間違いないです。
凄い事だと思います。
私は世界の歴史をそこまで深く調べたわけではないのですが「勝っている側からの和平オファー」なんて、あったのでしょうか。
この放送では、日本陸海軍の無条件降伏を求めてはいますが、後のポツダム宣言と比べれば遥かに日本側に有利な条件です。
それと時期的に平行して行われたのが、駐スイス日本公使館付海軍武官 藤村義朗 海軍中佐を通じての、アレン・ダレスとの和平交渉。
米国務省の訓令を受けて交渉にあたっていたアレン・ダレスは大統領の信頼も篤く、後にCIA長官となるほどの超大物です。
「権限を有する大臣か大将クラスの人物をスイスに送って欲しい。その間の安全は保証する」
ここまで路線をひいてくれていたアレン・ダレスとの交渉を、握りつぶしたのは米内光政 海軍大臣です。
米内は侍ではなくお受験エリートの官僚であり「カンどころ」が鈍いのだと思います。
海軍省という官僚組織で出世するには、大和魂や武士道精神は邪魔なのです。
いずれにせよ、ザカライアス放送にせよ、アレン・ダレスとの交渉にせよ、日本の指導者達が真剣に向き合っていれば、原爆投下もソ連参戦もなかった可能性がある。
これだけ見ても、この時の鈴木内閣の一連の不作為の罪は重い(鈴木内閣の閣僚で終戦時に自決したのは、阿南惟幾 陸軍大臣だけです)。