横沢史穂のブログ

祖父が、ラバウルで負傷した陸軍の傷痍軍人でした。左右のイデオロギーに関係なく、戦争経験者の話を中心に編集したいと思っています。

日本が大東亜戦争に勝てた唯一の方法

以下の見通しは、開戦前に決定した日本政府の公的な国家戦略です。

自由経済アメリカは、立ち上がったら強いけど、立ち上がるまでには時間がかかる。

逆に統制経済の日本は、短期集中が出来る。

だから、短期集中でまずはイギリス脱落に集中する。

大東亜戦争の鍵を握るのは、人口3億人を擁するイギリス領インド。

1899年から1905年までインド総督を務めたイギリスのカーゾン候爵は、「イギリスがインドを手放せば、イギリスは小国に陥る」と言っていた。

だから日本の国家方針としては、開戦と同時に東南アジアの資源地帯を制圧し直ちにインド洋に向かい、インド洋でイギリスの輸送船を沈めて、海上輸送にダメージを与える。

イギリスの国力の供給源であるアジアの植民地からの原材料・食料の供給を途絶えさせ、ペルシャ湾からの石油の輸送も遮らせ、イギリス本国から遮断。

それによって輸入依存度の高いイギリスを干上がらせる。

更にビルマの独立を刺激し、インドの独立を促進する。

完全に「イギリスの弱点」を突く戦い方です。

更にインド洋を制圧したら、ソ連や中国への支援ルートも遮断出来る。

そして中東の油田地帯で日本とドイツが手を組む。

石油が欲しくて日本は戦争をしたわけですし、イギリス領クウェートには1938年に発見された世界第2位のブルガン油田がある。

つまり「アメリカが立ち上がって来る前に、イギリスを脱落させる」この国家戦略は、まさに時間との勝負。

日本とドイツが戦つ方法は、これしかない。

アメリカに対してはサイパンを要塞化して守りを固めて太平洋には深入りせず、赤道も日付け変更線も越えないで、逆にこちらに引き込む。

ソ連がナポレオンやヒトラーに勝利した戦い方と、同じやり方です。

海軍は「ランチェスターの法則」と言って、戦力は距離の二乗に反比例する。

つまり、遠くまで攻めて行った方が不利。

太平洋の戦いは、防者が有利。

しかし日本が、インド洋制圧と中東での日独提携を捨てて南太平洋方面に深入りしてドロ沼にハマったら、敗北は必定。

そしてその「失敗の法則」に踏み込んだのが、山本五十六です。

ドイツが大嫌いだから、ドイツと協力したくなかったのでしょう。

個人の好き嫌いの感情を国家戦略に優先するなど、とんでもない話であり、その結果が百万人の陸軍将兵の餓死・戦病死。

敵に殺されたのなら仕方ない。

しかし味方に殺されたなら、その恨みは、そして山本五十六のその大罪は、万年までも消えない。

山本五十六 英雄論」など、戦没者への冒涜でしかない。