横沢史穂のブログ

祖父が、ラバウルで負傷した陸軍の傷痍軍人でした。左右のイデオロギーに関係なく、戦争経験者の話を中心に編集したいと思っています。

生命以上のものを守るのが軍隊 ③

自衛隊の観閲式で、総理が自衛官達に述べた訓示が出ています。

蜜の様に甘い賛辞が並べられています。

元々軍隊は、男性原理が色濃い性質の組織です。

その中で「国民の生命と平和な暮らしを、断固として守り抜く」等という、いかにも現代社会でウケそうな、俗耳に入りやすい美辞麗句が述べられていました。

自衛官の方々に失礼です。

私には何か「愛は地球を救う」とかと、テイストが一緒に聞こえます。

前も申し上げましたが「国民の生命・財産」を守るのは、警察や消防隊や警備会社の仕事です。
それに対して「生命以上の価値」を守るのが本来の軍隊です。

軍隊には「国民保護」の責任もスキルもない

アメリカは、州兵はともかく、連邦軍が災害救助を行う事は法で禁じられています。スイスもそうです。

軍隊は、敵と戦う事が使命なので。

アメリカで「国民の生命・財産」を守るのは、国土安全省。

戦前の日本も「国民の生命・財産」を守るのは、陸海軍ではなく、内務省の管轄でした。

結局、戦後の日本は「生命以上の価値」を生み出していないのです。

「生命」や「お金」や「安全で平和な日々」を守る事。つまり「保身」が最高の価値になっているわけです。

そこにはもはや、生涯賃金と年金の計算しか無いんです。

しかし「生命財産」や「損得」を越えた所に、使命や誇りがある

今や、一億総商人になった日本。  

「泳ぎの達者な奴」が評価される世の中なのかも知れません。

戦前の「皇道宣布」が、戦後は「商道宣布」になったわけです。

しかし私は「生」にそれだけ価値があるなら「死」にも同じだけの価値があると思います。