横沢史穂のブログ

祖父が、ラバウルで負傷した陸軍の傷痍軍人でした。左右のイデオロギーに関係なく、戦争経験者の話を中心に編集したいと思っています。

海軍大学校のゆがんだ教育 ⑦

ミドルクラスは世界一頑張っているのに、官僚体質のトップが足を引っ張って負けた

大東亜戦争の本質は、この一語に尽きる

これは、実際の戦闘だけでなく、軍艦の設計思想にも表れています。

日本の軍艦は、確かに世界最高レベルです。

ただ、よく見ると、何か偏っている。

ある部分は極めて秀でているのに、肝心な部分が抜けていたりする。

ボディビルで言えば、腕と胸だけは極限まで鍛えているのに、足腰は全く鍛えていない、という感じです。

つまり、全体のバランス、攻守のバランスが取れていないのです。

世界最強の戦艦群という打撃力を擁しておきながら、味方の輸送船を守る護衛艦は皆無。

ロジスティックという概念がないわけです。

対潜水艦への哨戒という、ディフェンスの概念もあまりかあった。

その結果、潜水艦からの魚雷攻撃で500万トン近くの輸送船が無抵抗のまま沈められた。

海上自衛隊の最先端のイージス艦が1万トンクラスですから、500万トンの輸送船と言えば、被害の多さ、海軍上層部のエリート将官の無能さがわかると思います。

ちなみに対潜水艦という事ですが…。

1944年のマリアナ沖海戦では、最新鋭の空母『大鳳』も歴戦の『翔鶴』も、潜水艦からの魚雷で沈みました。

敵に、こちらの懐まで忍び込まれたのです。

世界最大の空母『信濃』は、戦わずして潜水艦の魚雷で沈みました。

就役間もない高速空母『雲竜』も、潜水艦に撃沈された。

結局、戦争を通じて虎の子の空母は9隻が、敵の潜水艦の魚雷によって沈められました。

それらの空母の復旧作業にあたられて亡くなった方達の無念を思うと、やりきれません。

間違いなく日本最良の将兵です。

そして何より、官僚の思考の偏りの割を食うのは、現場の人間達です。現代日本と全く同じ構図です。

また、思考の偏りという点では、実際の戦闘でも、海軍上層部は隠蔽、隠蔽の繰り返しです。上層部が隠蔽に走る組織に、戦勝はありません。

彼らの愛国心は、己優先で国家は二の次でした。

私は軍艦は好きですが、好きだからこそ、あの世界最強の連合艦隊を自滅的に壊滅させた上層部の「無責任体質」は糾弾します。